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比叡山延暦寺の涼しく厳かな夏

by Cosmos

京都の夏は暑い!暑いと涼しい場所へ行きたくなる。
涼しい場所といえば、それは山だろう。
そして、山といえば比叡山だね。えっ、そんなことない?
いや、これは僕が言っているんじゃなくて、百人一首で有名な慈円というお坊さんが言っている。

世の中に山てふ山は多かれど、山とは比叡の御山(みやま)をぞいふ
(世の中には山と言われる山は多いけれど 山とは比叡山のことを言う)
慈円

ということで、お山へ、比叡山へ行ってみよう!
と、夏の暑い日にお散歩してきた。

叡山電車 八瀬駅
叡山電車 八瀬駅

比叡山は、京都と滋賀の間にある山。行政上は滋賀県に在するけど、事実上は今の世でも比叡山自治領という印象。
厳しい修行の場なんだけど、修行僧でない我々は登山なんかしなくても便利に行けるようになっている。
今回は、旅情あふれる楽しいコースを選択。

まずは、京都の街中から叡山電車で終点の八瀬まで。
緑に溶け込んだ、レトロな叡山電車八瀬駅。さっそく旅行に来た雰囲気。

この八瀬駅から、ケーブルカーとロープウェイを乗り継いで、一気に比叡山頂近くまで行ける。
すっかり緑だらけで、京都の町の家々が小さく見えて気分爽快。

ロープウェイを降りて、少しバスに乗って比叡山延暦寺に着いた。
ひんやりするほどではないけれど、やっぱり下界より暑さは和らぐ。

比叡山延暦寺 大講堂
比叡山延暦寺 大講堂

「一隅を照らそう」という言葉は、延暦寺、天台宗の開祖、伝教大師最澄の教え。
それぞれの人が、自分の周りの少しだけでも光を照らすような行いをしよう、という意味と理解している。

比叡山延暦寺は、とてもすごいお寺。日本仏教の母と言われている。
それは上のパネル写真のように、比叡山延暦寺は天台宗だけど、それのみならず、浄土宗・法然、臨済宗・栄西、浄土真宗・親鸞、曹洞宗・道元、日蓮宗・日蓮など、各宗派の宗祖が比叡山で修行をしているんだね。
ここから日本の仏教が広がったという感じだろうか。

開運の鐘(世界平和の鐘)
開運の鐘(世界平和の鐘)

延暦寺は、杉木立の中に建物が点在している。
とても厳(おごそ)かな雰囲気が、あたりに満ちている。

延暦寺の中心的な建物、根本中堂。国宝である。
ただ、なんだかちょっと雰囲気が違うのは、工事中だから。
根本中堂は昨年から10年をかけた大きな修復の途中。でも、中は拝観できる。

お堂の中には、有名な「不滅の法灯」がある。これはなんと1200年余の間、一度も消えたことのない火。

実は、厳密に言うと、織田信長の比叡山焼き討ちの際に一度消えているらしいんだけどね。
その後、以前に延暦寺から分灯された火が残っていた山形の立石寺から火が戻されて、法灯が復活をしている。

もうひとつ言うと、「油断大敵」という言葉はここから来ているという説がある。
不滅の法灯は菜種油の火なのだが、油を注ぐのをさぼってしまうと長年続いた火が消える大事になる。そんな戒めがこの言葉になったという(他の説もある)。
ちなみに油を注ぐ当番は決まっていないが、いつも僧侶たちが気にかけて随時注いでいるので火は消えないとのこと。すごい。

ああ、この灯火は自分が死んだ後も延々と続くのだな。そう思うと、なんだか安心する。
永遠という形のないものが、灯火という形になって見えるのだから、強く惹かれるのだろう。

鶴㐂そば
鶴㐂そば

さて、広く高低差がある境内を参拝していると、お腹が空いてくる。ちょっと休憩しよう。
比叡山延暦寺での食事といえば、何といっても蕎麦である。
延暦寺御用達の鶴㐂(つるき)そば。
比叡山は山で食べ物に不自由するので、昔は麓にある鶴㐂そばが山上まで出仕していたという。
昔の人はこんな山の上で蕎麦が食べられるなんてありがたかっただろう、と思いながら食した。

にない堂
にない堂

お蕎麦を食べて元気になったところで、西塔へ向かう。
比叡山全域を境内とする延暦寺は広大で、大きく分けたエリアが3つある。
先の根本中堂があるのは東塔。その隣がこの西塔で、少し離れて横川(よかわ)。
これらを全部回ると、一日あっても足りない。
横川にはたしか一昨年に行ったので今回はパスだが、横川は拝観者も少なく修業の場としての雰囲気がより強く、それゆえ惹かれる場所である。

上の写真はにない堂。弁慶がふたつのお堂をつないでいる廊下に肩を入れて担ったとの言い伝えから、にない堂とも呼ばれている。
なんで弁慶が出てくるかというと、弁慶は比叡山で修行をさせられていたから。でも、乱暴すぎて比叡山から追い出されてしまった。

にない堂のうち、左にある常行堂から読経が聞こえてくる。修行中らしい。もちろん扉は閉められ、立入禁止。
比叡山は今も修行の場であり、厳か(おごそか)な雰囲気がひしひしと感じられる。

なにせ山なので、自然に囲まれている。
修業の場なので豪華な庭園などないが、ところどころ花が咲いていたり美しい苔があったりして、目をなごませてくれる。

釈迦堂(転法輪堂)
釈迦堂(転法輪堂)

西塔・釈迦堂。
なんと今回、この内部が初めて一般に公開された。もちろん、拝観させていただく。
中はどうなっているかというと、残念ながら撮影禁止。

堂内では釈迦如来を守護するように東西南北に四天王像が立ち並びます。
また、内陣には四つのお社(おやしろ)(文殊菩薩・元三大師・山王七社・八所明神)があり、それらのお扉も初めて開くこととなりました。
釈迦堂内陣特別拝観秘仏ご開帳

内部には小さなお社もあって、神様がいる。お寺なのに神様?
そう、お坊さんの説明によると、これは神仏習合とのこと。面白い。
お社の扉は初めて開けられ、お坊さんですら初めて中の神様のお顔を拝見したとのお話だった。

比叡山より望む琵琶湖
比叡山より望む琵琶湖

延暦寺を参拝している間に、だんだんと心の汚れが取れてきたかもしれない。
比叡山から下界を見ると、いつも暮らしている現代の町が別世界に思えてくる。
そんな気持ちにさせる、やっぱりここは特別な場所だ。

夏の一日、特別な場所で普段と違う気持ちになるのは素敵なこと。
もう夏も終わり、次の季節がやってくる。暑さが和らぎほっとするとともに、日差しの強さを懐かしんだりする。
どうか、みなさまにとって素敵な秋になりますように。

PENTAX K-3II with SIGMA 17-70mm F2.8-4 & PENTAX 50-200mm F4-5.6


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