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京の夏の旅・花山天文台で宇宙に思いを馳せる

by Cosmos

京都の真夏の風物詩になっている「京の夏の旅 文化財特別公開」。
毎回、この時だけの興味深い文化財を見ることができるので、楽しみにしている。

今回訪れたのは、京都大学・花山(かざん)天文台。
えっ、天文台? 神社仏閣じゃないの?
確かに異色。自分も最初は驚いたんだけど、異色だからこそ面白そうと思って、訪ねてみることとした。

さて、訪ねるとしても、花山天文台は山の上。どうやって行くんだろう?ハイキング? 難易度高いかなぁ。
でも、そんな心配は無用だった。

なんと、地下鉄東山駅から花山天文台へのシャトルバスを出してくれていた。しかも無料。
とっても便利なんだけど、この時は乗っている人は少なかった。
バスの存在が周知されていないのか、それとも山の上で不便という先入観で訪問しない人が多いのかな。

さて、バスは花山天文台敷地の前に停車する。
そこから5分くらい歩く。山の緑は濃く蝉が鳴き、さっそくここから真夏を感じる。
しばし歩くと…。

花山天文台本館

おお、山頂に緑の木々に囲まれて、花山天文台がどんと建っていた。本館のドームがいかにも天文台らしい。
そして、このドームの中も入って見学できる。どんな望遠鏡があるのだろうか。ワクワクしてきた。

花山天文台 屈折望遠鏡

ドームの中、口径45cmの屈折望遠鏡。大きい!
屈折望遠鏡では日本で3番目の大きさだそう。それより何より、このレトロな感じがとても良い。
昭和2年に購入、昭和4年に花山天文台に設置。天文台で現役で使われている望遠鏡では、日本で一番古い部類らしい。
どれだけレトロなのかというと…。

左の写真では、望遠鏡を動かすのにロープを引っ張っている。そう、手動!

そして、右写真。これは重力時計を用いた日周追尾装置という、星の動きに合わせて望遠鏡を動かす装置とのこと。
これも電動ではなく、重りが下がることで望遠鏡を動かす仕組み。とても精密な装置らしく、もはやこの装置は花山天文台以外のどこにも残っていないくらい珍しいものとのことだった。
電動でない時代は、こんなカラクリで動いていたんだね。

柴田一成 花山天文台長

こんな面白い仕組みを説明してくださったのは、なんとここ花山天文台の天文台長の柴田先生。
京の夏の旅ではいつもは観光協会のガイドさんが説明してくださるのだけれど、この時は新聞社の取材が入ったおかげで天文台長自らが説明されていて、先ほどの話も普段では聞けないことばかりだったようだ。

それに、先ほどの写真で、望遠鏡につながったロープを引っ張っているのも柴田先生。
ガイドさんのように触ってはいけませんと注意するのではなくて、逆にご自身でどんどん望遠鏡やドームを動かしながら解説をしてくださった。
長年ここで観測されておられる先生のお話はとても興味深く、ちょっと興奮しつつ拝聴していた。

花山天文台別館と山科盆地

花山天文台がある花山は京都東山の一角、京都盆地とその東隣の山科盆地の間にある。
星が綺麗に見える山だけあって、さすがに眺めが良い。
左手に見えるのは京都山科盆地の家々。写真には写っていないけど、右手にはなんと大阪のあべのハルカスまで見える。

山科は昔は家が少なかったが、今は京都のベッドタウンとして多くの家が建って灯りが明るい。だから、昭和4年に設立した日本で二番目に古い大学天文台である花山天文台は、もう夜空の星を研究するの施設としてはふさわしくなくなったようだ。
今は飛騨天文台に主力を移し、今度は岡山の山中の天文台にに巨大な望遠鏡を備えるとのことだった。

でも、先の望遠鏡は教育用としてはまだ動いていて、ちゃんと星を見ることができ、時々観望会が開かれている。

花山天文台歴史館(旧子午線館)

本館の横には旧子午線館がある。ここは、昔は星の動きをもとに正確な時刻を測っていた場所とのこと。
どうやって時刻を測るのだろう?

子午儀

旧子午線館の中の子午儀。この望遠鏡で時刻を測る。どうやって?
自分も詳しくはわからないが、理屈はこうらしい。
ある日のある時刻に、ある星がどの位置にあるかは決まっている。逆に言うと、その星の位置が特定の場所に来たときは、その時刻ということになる。
この望遠鏡でその星を見て、特定の場所に来たときに、手持ちの時計を決まっている時刻に合わせる。これが正確な時刻を合わせる仕組み。

ここで合わせた正確な時計を持って、山を降りて京都の街にゆき、他の時計の時刻を合わせたという。
天文台長の先生いわく、京都大学の時計台の時計もこれで合わせられていたとのこと。面白い。

旧子午線館には、他にアームストロング船長の足跡の灰皿も飾ってある。
当時の天文台長の宮本正太郎先生が、アポロ計画に貢献したことに感謝してプレゼントされたものとのこと。また、右の写真の、瓶の中の気圧で時刻を調整する精密時計もあったりして、とても興味深い。

まじまじといろんなものを見ていると、あっという間に時間が経った。
もういい加減にしないと、シャトルバスが出発しちゃう。乗り遅れたらハイキングになっちゃう!

ドームのスリットから覗く空と雲が、まぶしいくらいの夏色だった。
激しい蝉の声を聞いて改めて夏を感じつつ、シャトルバスに乗り込み一面に緑が生い茂る真夏の花山を後にした。
暑く元気な京の夏は、まだまだ続く。

PENTAX K-3II with SIGMA 17-70mm F2.8-4

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